「ほんじゃ」と別れてしまえば、接点をキレイさっぱりなくすこともできる。
2人の唯一の接点、バスケのサークルも、顔を出すのをやめればすむ話だ。
私も彼も迷っていた。
短い間とはいえ、楽しく食事をし、一緒に音楽を聴き、校内を歩いた。
といっても、彼の部屋にはテレビがあった。
私の部屋にはまだなかった。
彼を失うのは、なんといっても、なんとも惜しい。
女の子をデートに誘う前に、ボキャブラリーを増やしたほうが良さそうだ。
「日本語は五十音あるんだから、さ。
うん以外、なんか言ったら?」「う〜ん……あ〜、オレ、たぶん、彼女に、なにもしないと思うよ」彼はとりあえず、アクションを起こすつもりはないと言っている。
このまま、私が彼の手を放しても、彼は凧のようにフラフラ漂うだけ。
恋心を抱く彼女の元へ走らないのなら、私が身を引く意味はないかもしれない。
私は放しかけた彼の手を、もう1度、掴むことにした。
「朝のニュースが、そろそろ始まる時間だね」しかし、どれほど忙しくても、やっぱりデートをするのが、大学生だ。
私は彼がどこへ連れて行ってくれるのかと、期待に、貧弱な胸を膨らませた。
「ねえ、夏休みなんだから、どっか行こうよ。
海がいいな。
沖縄とはいわないけど、キレイな海に行きたいな」結局、彼は無理せずとも手に入る恋愛を選んだ。
想い人への未練を断ち切り、目の前に転がっている恋愛に満足することにしたのだ。
ところが、入り口がラクチンだからといって、恋愛の道程までラクチンとはかぎらない。
夏休みの到来とともに、またも波乱(といっても小波)がやってきた。
彼はバスケのサークルのほか、野球部にも籍を置き、サークル以上に熱心に活動していた。
夏休みは練習、大会と忙しい。
その合間を縫ってバイトである。
出会いのありかたが変化しています。一つ上の出会いを求める人必見です。


